【台湾・高雄】家族旅行で父がハマったエビ釣り。そこは地元の人の優しさに溢れていた。
最近元気のない父を思って、家族+友人1人での台湾旅行を提案した。しかしあまり趣味のない父が何をしたいのか、何に喜ぶのか、全然わからない…
(高雄のエビ釣り場の詳細は一番下です)
父の好み、わからない問題
家族で台湾旅行へ行くことなり、私は猛烈に張り切っていた。今まで国内の家族旅行は何度かしたが、私の主戦場は海外だ。絶対父に「また台湾に行きたい」と言わせたい。
ありとあらゆる情報をかき集め、プレゼンプレゼンまたプレゼン。ちょっとでも出発が楽しみになるよう、現地で楽しんでもらえるよう睡眠時間を削る日々。
しかし父は私の渾身のプレゼンを受けても「ふーん」「そうなんだー」と言うばかりで一向に良い反応を見せない。この人、私のこと旅行会社のガイドだと思ってんだろか?
最終的に、「皆に合わせるよ、お任せで。」と言われた時は、さすがに目の前の父を焼酎ボトルを掌底打ちしそうになったが、グッとこらえた。
不意打ちの感動
その後「とりあえず現地の過ごし方は自分のしたいことを先に考えよう」と切り替え、せっせとチケットやホテル、新幹線などを予約していくつかのプランを立てた。
そして某日、旅行前決起集会時にそのプランを少し提案すると、父がボソッと言った。
「エビ釣り、いいねぇ」
……え!!!
予想してなかった時に初めて前向きな言葉を聞き、私は心の中で小躍りし続けた。
そういえば、父は釣りが好きだった(やってるとこ1回しか見たことないけど)。
いざエビを釣る
結局エビ釣り以外は全く反応がないまま台北へ出発。その後高雄へ向かった。しかし私に不安はなかった。父が「いつエビ釣りするの〜?」とボソッと言ったのをこの耳でちゃんと聞いていたから!めっちゃ楽しみにしてるじゃん…!!
そして満を辞してエビ釣り場へ乗り込んだ。
台湾の特産品や美味しい食べ物には無反応だった父が、すんごい笑って楽しんでるよ!
全然釣れてないけどめちゃくちゃ楽しそうだよ!
観光客には厳しすぎる釣り場
実は最初の30分は本気の静寂が漂っていた。全く釣れないのだ。エビが。釣り竿に触れる気配すらない。「本当にいるのか?」と店員に問うほどに。
当然父に笑顔はなかった。むしろ眉間にしわ寄ってた。エビは確かにいるようだ。なぜなら周りのおじさん達はガンガン釣れている。聞けば「毎日来ている」と言うではないか…!冷や汗とともに私は気づく。
…ここはもしや観光気分で来るような場所ではなかったのかもしれない。
そうして30分が経過した頃、我々を見かねた1人の強面のおじさんが「ちょっと来い」と私に声をかけ、「これを使え」と自前の餌をくれた。それを針につけて垂らしてみること5秒。「謝シェ…」お礼も言い終わらないうちに釣れた。
言葉にできない
1人のおじ様が助け舟を出してくれたおかげで、3人で合計3匹のエビが釣れた。
私が2匹、友人が1匹。なんと父は1匹も釣れなかった。まさかのボウズだ。
するとそのおじ様が「これをやるよ」とエビを分けてくれるではないか。そしてその隣に座っていた人も、またその次の人も…
我々のエビは最終的に8匹になった。この心締め付けられる嬉しさをどう言葉にすればいいだろう。ありがたく頂戴したエビを丁寧に焼いていたら、それすら皆が手伝ってくれた。私たちは8匹のエビを大事に大事に食べた。
エビ釣り<心の触れ合い
心の限りにお礼を伝え、我々はその場を後にした。帰国日当日、父が「もう1回エビ釣り行きたいな。」と言ったのを聞いた。鼻がつーんとして嬉しいのは初めてだった。
今も台湾旅行の話題になると、父はエビ釣りの話をする。「釣りも楽しかったけど、なんてったってあそこの人たちの優しさと温かさだよね〜。嬉しかったなぁ〜」。
いろんな観光地を張り切ってプレゼンしてたけど、結局旅行で一番心に残るのは予想しなかった嬉しい・楽しい出来事だったりする。いくら完璧な予定を立てたって、心が喜ばなきゃ意味がないよな、と、父との旅行で再認識した。
次の旅行はどこ?
台湾旅行を最初に提案した時のような「楽しさを猛烈に押し付ける自分」がいなければ、この気づきもなかったはず。決して無駄な時間ではなかったと思っている。
今回の台湾旅行の反省を踏まえ、先日そろそろ次の海外旅行をしようと提案したら、「国内がいいな」とさらっと言われた。目の前の父をビールジョッキを掌底打ちしそうになったが、「いやいや、好みだから」と思い直した。次は北海道旅行の予定だ。
住所:No. 51號, Mingxing Street, Xinxing District, Kaohsiung City
営業時間:24時間
料金:1時間150元
*六合夜市のすぐ近く*